卒制作品を振り返って①

こんにちは。講師の青木です。
ochabiでは先日卒業制作展「OCHABI CREATIVE FAIR 2016 -欲しいからつくりました-」が開催されました。
ご来場いただいた皆さま、楽しんで頂けましたでしょうか。

この展示では学生自身が欲しいものを制作し社会に提案し、それに対し作品を購入したい場合は作者と交渉できるという試みでした。

今回は展示の記録として私が欲しいと思った作品を紹介いたします。


1つ目は「artistcolor crayon」です。
これは、葛飾北斎やエリックカールなど世界的に有名な作家の作品から
特徴的な色味を抽出してクレヨンセットにする、という作品です。

作者の岩澤さんがこのクレヨンのコンセプトを練りはじめたのは11月頃だったように思います。
「誰もが知っている作家の色を抽出して使ってみたい」というところから始まったと思います。
私も当初から相談に乗っていたのですが、このアイデアの難しいところは、
何を持って「作家の特徴的な色とするか」、というところでした。

作品や制作年によって作家の使用する色も変わっていきます。
一つの作品から抽出するのでは作家の色とは言えないのではないか。
そこが大きな壁でした。

岩澤さんも色々な講師やアーティストに話を聞きつつ試行錯誤したようです。

そうしてできた作品は、アーティストの有名な絵画数点から、少しずつ色を抽出して色相環※をつくり、クレヨンにする色をその中から10色選ぶというものでした。
これなら、例えば20色バージョンのクレヨンを企画すれば、より作家に近ずけるという選択もできます。

AiPs記事トップ用

思いついたアイデアを実際の商品企画として詰めていく過程で、多くの壁があると思います。
それを断念することなく一つ一つ検証しながら進めていけば、面白い商品になる。
岩澤さんの「artistcolor crayon」はそんな作品だと思いました。

パッケージもクレヨン自体もよくできていて、自分にも絵に興味がある友人へのプレゼントにもしたいと思った作品でした。

※色相環とは
赤・黄・緑・青・紫などの色相を、円環に配置したもの。